潜窟紀行.浅瀬

鍵を解くごとに徐々に鮮明になっていく

今まで無視してきた君のこと。その居所。

怒ってるかもしれないな

でもきっと待っててくれてるから

一度君と話をしないといけない。

 

解いたものは後ろ手で閉めて、邪魔が入らないよう。

 

 

 

 

....

 

 

 

 

周りに合わせようとしたんだ

うまく溶け込めていたのに

気づいたら暴力の中にいた

相手を気遣って、相手のして欲しいことを察して与えるたびに、少年の価値は下がっていった

 

他人の表現に押しつぶされた

歪んだ表現に屈した

 

ああこの人たちは抗ってるんだ

少年は膝をついて表現をやめたのに対して、この人たちはそうしなかった

 

少し、かっこよく見えた

身体中あざだらけで帰っても、助けは求められなかった

彼らは悪くない気がした

 

身体が傷つくのには慣れた

痛みにも、苦しみにも慣れた

心が傷つくのも慣れた

なにもかも壊されても、自尊心だけは保った

 

 

『世の中の全ての不利益は、当人の能力不足に因る』

 

 

小さい頃から心に刻まれている言葉

自分が弱いのが全ての元凶。

誰のせいにもできない。

人に頼っても自らを救うことはできない。

あてにならないものをあてにしてはいけない。

自分の身は自分で守らねば

 

 

 

.......

 

 

 

 

 

この頃からは僕も憶えてるよ

君を完全に閉じ込めてしまうのは間違いだった

おかげで引っ張り出すのが大変だ

 

 

 

T.