潜掘紀行.鍵

 

呼吸もできないほど深く深く、

光の届かないくらい、もっと奥にあるはず

まだ、まだここじゃない。

羅針盤はこっちを指してる。方角は合ってる

もっと、きっとこの向こうに...

 

 

今見つけるから。

 

 

.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この子は人の痛みがわからない」

 

 

そんなことはないのに。とは思えなかった。

ただ、これは悪いことなんだと、そう思った

 

他の雛を傷つけては、親鳥に頭を下げさせた。

 

あんなに褒めてくれたのに

すごいね、上手だねって

普通こんなことできないって

たくさん金メダルをくれたのに。

真っ白のキャンバスに向かうのとは違うのか。

難しいな

 

外の雛も、親鳥も、真っ白だったらよかったのに。

邪魔するものなんて全部全部無くなってしまえばいいのに。

そしたらきっと楽しいのに。また褒めてもらえるのに。

面倒くさいな。

 

 

 

雛は自らを閉じ込めた箱に鍵をかけて、少年と呼ばれるようになった

 

 

 

 

もうあんなことは言われなかった。

これでよかったんだと思えた。

 

少年は他の雛や少女、少年たちと日々を過ごした。穏やかに、ゆっくりと

 

もう、キャンバスには向かえなかった

雛に戻ってしまうのが怖かった

もう戻る場所はないはずだった

 

これでよかったはずだった。

 

 

.....

 

 

 

みつけた。

ここからだ。

あとは順を追っていくだけ

もう少しで解る

今まで放っておいて悪かった。

今行くから。

 

 

 

T.